介護療養型医療施設とは療養病床と呼ばれ、介護保険を利用して療養(病気を治し体を休めて回復をはかる)する医療施設です。
入る為の条件や特徴、受ける事のできるサービスなどについては、次のようなものがあります。
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介護療養型医療施設に入るための条件は?
年齢 | 原則65歳以上 |
要介護度 | 要介護1以上 |
認知症 | ○ 対応 |
入所できるのは65歳以上
介護療養型医療施設に入所できるのは、原則として65歳以上の高齢者となっています。
ただし60~64歳でも、初老期認知症などの特定疾病に認定された場合には、入所が認められます。
要介護度が1以上
要介護1以上の介護認定を受けている事が条件となりますが、実際には重度の方の入所が多く、介護療養型医療施設に入院している人の平均は要介護4を超えています。
また医療ケアに関しても、重度の方が入所を優先されます。
認知症にも対応
介護療養型医療施設には、「老人性認知症疾患療養病棟」という重度の認知症に対応するための病棟があり、医療ケアが必要な認知症患者に対応しています。
ただし施設によって認知症への対応には差があるので、しっかりと確認することが必要です。
その他の入所条件
他には、
- 長期の入院を必要としない
- 伝染病などの疾患がない
などがあります。
介護療養型医療施設の特徴は?
費用(目安) | 初期費用:不要 月額費用:9~17万円 |
入居期間 | 長期利用が可能 |
居室の種類 | 多床室(相部屋)が多い |
病院として位置付けられる介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、国が指定している施設の区分としては、病院になります。
介護保険法や医療法という法律に関連した施設で、その多くが医療法人によって運営されています。そのため病院の中に療養の病床として設置されている場合も多くあります。
費用は介護保険施設の中では割高
有料老人ホームなどで必要な、入居一時金などの初期費用はかかりません。
月額費用としては、介護サービス利用料として、所得によって1~2割を負担します。また食費や居住費は基本的に全額自己負担となります。
ただし所得や資産によっては、居住費などを減額してもらえる制度もあります。 介護保険施設には、
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
とありますが、この中で自己負担額は介護療養型医療施設が高くなる事が多いです。
それは
- 医師や看護師を配置している数が多い
- 特定診療費(日常に必要な医療行為に対しての費用)がかかる
などの理由からです。
長期の入居にも対応可能
基本的には医療機関であるため、終身制ではなく、元気になれば退院しないといけない場合もあります。
ただ実際には、要介護4以上の寝たきりの重度の介護が必要な方が多く入院しているので、必要に応じて長期の利用に対応しています。
介護療養型医療施設を利用している場合、退所理由として4割が死亡によるものであり、ほとんどの施設で、看取り(死期まで介護などのお世話をすること)が可能となっています。
介護療養型医療施設で受けられるサービスは?
介護ケア | ○ 充実している |
機能回復 | ○ 充実している |
医療ケア | ○ 充実している |
医療ケアが充実している
他の介護保険施設と比較したときに、最も特徴的なのが、この医療ケアの充実といえます。介護療養型医療施設では、入所者100人あたりに対して、
- 医師:3人以上(うち1人は常勤)
- 看護師:17人以上
の配置が義務付けられていて、経管栄養、痰の吸引、酸素吸入などのケアが受けられます。
介護ケア、機能回復も充実
入所者の要介護度は平均で4以上と重度の方も多いので、介護ケアについても整っています。
入所者100人あたりに、17人以上の介護職員が配置されていて、食事や入浴、排泄などの身体介護が受けられます。
また機能回復(リハビリ)に関しても、理学療法士や作業療法士などが配置されていて機能訓練を受けられます。
生活援助やレクリエーションはあまりない
基本的には病院という位置付けなので、掃除、洗濯、買い物の代行といった生活の援助は受けられません。また、レクリエーションなどもあまり行われません。
介護療養型医療施設に入所するための手続きや入所のしやすさは?
手続き
介護療養型医療施設への申込みは、施設の窓口で直接行うか、あるいは市区町村の福祉窓口で、ケアマネージャーに申込み書を作成してもらい、施設に提出します。
その後、施設スタッフとの面接が行われます。提出資料や面接の内容をもとに、施設のスタッフ、医師、自治体の担当者が、要介護度本人の病状・状態収入や資産などを総合的に判断して、入所の可否が決定されます。
ただし、入所が可能となっても、入所待ちをしている人がいるため、待機待ちの状態という事も多くあります。
入所のしやすさは?
介護療養型医療施設は、医療措置を受ける施設なので、病後の人、特に重度の人が優先されます。
入所を申し込んだ順番に入れる訳ではなく、介護や医療の必要な度合いによって、入所の順番が決まるので、実際には要介護度の低い人にとっては入りにくいのが現状です。
介護療養型医療施設の今後は?
介護療養型医療施設は廃止の方向!
介護療養型医療施設は、
- 増え続ける社会保障費の削減
- 医療ケアをあまり必要としていない人の長期利用
などの理由により、廃止する事が決定しています。これまでにも廃止するという話になっていたのですが、
- 入所者の受け入れ先が足りない
- 医療ケアに対応できる施設がない
などの理由で先延ばしになっていましたが、現状では、2018年3月末で廃止が決定しています。 すでに廃止する方向であった事から、2012年から新しい介護療養型医療施設は建設されていません。
このように、新しく作られていないので施設の数が減っていて、さらに入所者の利用期間が長期になる事も多いので、入りやすい施設とはいえません。
施設によっては待機している人の数が多く、入所まで数ヵ月かかってしまう、という場合もあります。
この先どうするかが重要!
現状では、2018年に廃止が決定している介護療養型医療施設に替わって、国が新しく新型老健といわれる、医療面を充実させた介護療養型老人保健施設を増やそうとしていますが、なかなか増えていないのが現状です。
今後の状況はまだ流動的なのですが、もし介護療養型医療施設に入所を考えている場合には、その施設がこの先どのように運営していくつもりなのか、確かめておく必要があります。
- 廃止になれば退所させる
- 同じ運営施設に入れる
- 他の施設に紹介してくれる
など、どのような対応をとるのかが分かっていなければ、いざ廃止となった時にどこにも行き場がない、という事にもなりかねません。
その点については、しっかり確認しておきましょう。
介護療養型医療施設のまとめ
介護療養型医療施設を、できるだけ簡単に表現してみると、
「介護療養型医療施設とは、65歳以上の重度の要介護者が、医療処置が必要な時に、介護保険を利用して医学的な管理のもとに長期の介護や医療処置を受ける事のできる施設」
といえるでしょう。
老人ホームの条件や特徴、サービス内容は、同じ形態の施設でも異なる場合が多くあります。必ず各施設の資料を取り寄せたり、直接問い合わせて確認しましょう。