老人ホームは民間企業が運営している場合、業績が悪ければ当然倒産する可能性があります。
老人ホームの倒産についての現状や、注意点についてみていきます。
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老人ホームの倒産の現状
倒産件数の増加
上に老人ホームは倒産する可能性がある、と書きましたが、実は2015年は過去にないペースで介護事業者が倒産しています。
1~11月の介護事業者の倒産件数が66件、前年の同時期との比較で17件増えているというのです。
この数字は介護事業者全体の数で、デイサービスやショートステイなどの事業者も含まれ老人ホームだけの数字ではないのですが、介護業界として経営が厳しくなっているのは間違いないようです。
倒産している施設の特徴としては、規模が小さく経営年数も浅いところが多く含まれる、という点です。
倒産する理由は?
高齢化社会が進んでいる中、介護を必要とする高齢者の増加にともない介護サービスの市場は成長が見込めるということで、異業種も含めた中小企業、ベンチャー企業の新規参入が続いています。
そんな競争が激しくなっている中、当然介護の知識などが浅い企業が簡単に運営を行える訳もありません。
また、人材が集まらない事による人件費の上昇や介護報酬(事業者が受け取る報酬)の引き下げなどにより、さらに経営を圧迫して、倒産が増加したと見られています。
倒産すると入居者はどうなる?
倒産件数の多くを占めるのはデイサービスなどの施設ですが、では老人ホームが倒産していないかというと、そうではありません。
民間企業が経営しているホームで倒産する事は十分あり得ます。
その時に入居者はどうなるのかですが、倒産したからといって入居者がその施設を退去しなければならない、とは限りません。
たいていの場合は他の企業に事業譲渡(運営が引き継がれる)され、そのまま住み続けることは可能な場合が多いです。
ただし倒産の内容によっては、事業譲渡されずに退去しなければならない事もあります。
老人ホームの倒産に対しての注意点
保全措置の確認
老人ホーム(有料老人ホームなど)に入居するには、まず入居一時金という高額な費用が必要となる場合があるのですが、倒産によってこの支払った費用が返ってくるかどうかは大きな問題です。
その際に、入居一時金を返還してもらうための措置を保全措置といいますが、有料老人ホームでは、厚生労働省によって入居一時金の保全措置が義務付けられています。
具体的には、入居一時金のうち償却されていない金額が老人ホームの倒産のために返還されない場合に、銀行や公益社団法人有料老人ホーム協会などが未償却の金額、あるいは500万円のいずれか低い方の金額を支払うことになります。
(償却とは、入居一時金を一定期間かけて、少しずつ使っていくことで、未償却の金額とは、倒産時に償却されていない入居一時金の事です)
ただし注意点として、この保全措置の義務は、平成18年4月以降に届出を行った施設に対してで、それ以前に開設されている施設に対して、義務とはなっていません。
有料老人ホームを選ぶ際には、開設された時期の確認や、保全措置の義務がない施設での、倒産時における、入居一時金の未償却分の扱いについて確認しておく必要があります。
運営会社の経営が安定しているか
これに関してはなかなか判断が難しい部分はあります。
規模が大きいところであれば絶対安心かといえば、当然そんな事はありません。
(相対的には安全な場合が多いとは思いますが)
できる限りの情報を集めるようにしましょう。
そのためには、施設からの資料だけでなく、重要事項説明書(老人ホームの事業者やサービス内容を説明した資料)や、財務諸表(経営状態を示す資料)を取り寄せるなりして調べておきましょう。
財務諸表に関しては素人が中身を理解するのは難しいですし、施設側に開示義務もありません。
ですがこれらを見ることが出来ない、見せてくれないという時点で少し疑いを持つ必要があるかもしれません。