老人ホームには、施設によって部屋(居室)の種類が色々あります。施設の種類によって特に決まっている、というものではなくバラバラなので、老人ホームを選ぶ場合には、しっかり確認する必要があります。
部屋の種類には大きく分けて、4つのタイプがあります。
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老人ホームの部屋(居室)の種類
従来型個室
従来型個室とは、いわゆる個室のことなのですが、あとで説明するユニット型個室、というのが後にできたので、区別するためにこう呼ばれています。
部屋は入居者1人に対してベッドが1台となって、洗面所・トイレなどは個室内にある場合と共用スペースのみの場合があります。
浴室も共用スペースに設置されている場合が多いですが、健康型有料老人ホームなど、元気な人が入居するのが前提となっている老人ホームでは、個室内に設置されていたる場合もあります。
従来型個室のメリット・デメリット
プライバシーが守られるというメリットがある半面、費用は多床室(相部屋)よりも高くなります。またユニット型個室と比べると、1人1人に行き届いた介護が受けられません。
多床室(相部屋)
1部屋の定員が2人以上の部屋で、複数の(現在では4人部屋が多い)人が寝起きします。2015年の介護報酬改正によって、負担増になる施設もありますが、それでも居室の形態としては、多床室が1番費用が安くなる場合が多いです。
多床室のメリット・デメリット
メリットとしては、やはり費用が少なくて済むという点でしょうが、カーテンなどでの仕切りがあるとはいえ、プライバシーが守られていない所がデメリットといえます。
また、周りに気を使う、人間関係上のトラブルが起きやすい、などの点もあげられます。
ユニット型個室
それまでの個室(従来型個室)や多床室では、部屋で寝起きをして、食事は食堂でみんなが一緒に、という施設が多かったのですが、それだと個人にあった介護を行えない、という事からユニットケアという考え方が増えてきました。
ユニットとは、10人程度の入居者を1つのユニット(単位)として、1ユニットごとに
- 食堂
- 台所
- トイレ
- 浴室
- リビングルーム
などの共用スペースが用意されている(トイレは個室に設置されている場合もあります)もので、1ユニットあたりの人数が決まっていて、それに対して専任のスタッフが対応しているので、より細かく個人個人に適した介護が行えるといわれています。
ユニット型個室のメリット・デメリット
メリットとしては、入居者ごとに合わせた介護が受けやすい、という点とプライバシーが守られるところでしょう。
デメリットとしては、費用の高さがあり、一般的には部屋(居室)のタイプの中では、このユニット型個室が1番費用がかかります。
ユニット型準個室
ユニット型準個人とは、10人程度の入居者を1つのユニットとしてお世話をしていく、という面ではユニット型個室と同じなのですが、部屋(居室)の造りが違います。
通常の個室は、当然1つの部屋になっていますが、準個室とは、もともと多床室(相部屋)だった大部屋を固定した壁で区切った部屋になります。
そのため施設によっては、壁と天井に隙間が開いている、ということもあり、完全にプライベートが守られているとはいえません。
ユニット型準個室のメリット・デメリット
メリットとしては、かかる費用がユニット型個室よりも低くて済むという点です。
あとは、メリットかデメリットか微妙なところですが、多床室よりはプライベートが守られる、というところで、色々な面で個室と多床室の中間になります。
部屋(居室)による費用の違い
一般的には、
ユニット型個室
↓
ユニット型準個室
↓
従来型個室
↓
多床室(相部屋)
という順番に費用が安くなっていく場合が多いです。
特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)では、国によって基準費用額という金額が定められていて、それによると、
多床室 | 840円/1日 |
従来型個室 | 1,150円/1日(特養) 1,640円/1日(老健・療養病床) |
ユニット型準個室 | 1,640円/1日 |
ユニット型個室 | 1,970円/1日 |
となっています。
以前は多床室は1日あたり、320円と非常に安かったのですが、2015年より負担額が増えています。
ちなみにこの基準費用額とは、平均的な費用を考慮して国が定めた金額であって、実際に施設に入ったときに払う費用は、施設側で設定されたものになります。
ただし所得が低い人へは負担軽減の措置があり、その場合、施設が得られる収入が、入居者が支払う軽減された金額に、給付を足したこの基準費用額となります。
(低所得者が軽減される負担額は、所得額や資産によって変わります)
ユニット型個室が増加中
2002年以降、厚生労働省がプライベートへの配慮や、他の入居者との交流を増やす意味からも、新しく建設する特別養護老人ホームは、ユニット型個室にするように指導していて、現在では総数の半分程度がユニット型個室となっています。
逆に介護老人保健施設では、入居期間が短いという理由もあり、多床室の所が多い状態です。
ただし、個室が必ずしも良いとは限らないようです。多床室であれば、何かあった時に周りの人が気付いて事故が少ない、という意見もあったり、入居者本人が、近くに人がいて安心と感じる場合もあります。
また他人と接する時間があまりないと、認知症の進行が進みやすいともいわれます。 個室が良い、悪いというのではなく、入居者本人にとってどちらが良いのかをきっちり考え 決めることが必要です。