老人ホームへ入居するには施設側と契約を結ぶわけですが、その契約方式には、利用権方式と賃貸借方式というものがあります。
この2つの方式とその違いについて説明します。
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利用権方式とは?
利用権方式とは、ほとんどの有料老人ホームでとられている方式で、一言でいうと、 という事です。具体的には、まず入居するときに入居一時金という形でまとまった金額を支払います。
入居一時金で権利を購入
この金額は施設によって各々設定額が異なり、無料としている所もあれば、数千万円必要な場合もあります。
(入居一時金は家賃の前払いにもあたるので、無料、あるいは安い場合は、月々の費用を高く設定しています。)
そしてこの入居一時金によって、その施設の居室や共用スペース、そして生活支援や介護のサービスを終身で利用する権利を購入できます。
ただし購入したといっても、利用する権利を購入しただけで、本人が亡くなった後に親族へ相続する、といった事はできません。あくまで、入居者本人が利用する権利、を持っているというだけで、施設の所有権を持っているという事ではありません。
ちなみに入居一時金は、施設を利用する権利を購入するためだけのもので、当然月額の費用として、
- 利用した介護サービスの自己負担分
- 家賃
- 管理費
- 食費
- 水道光熱費
などが必要となります。(家賃は入居一時金で前払いした、その残りとなります)
退去しなければいけない事も
利用権方式の施設では身体的な状況の変化(要介護度が上がる、長期の入院が必要など)によっては、一旦退去しなければならない場合もあるので、入居前にしっかりと、確認しておく必要があります。
賃貸借方式とは?
建物賃貸借方式ともいわれますが、いわゆる一般的な賃貸物件と同じ契約方法で、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で多くとられている方式です。
入居一時金は不要
入居時には、入居一時金としての費用は必要ないのですが、賃貸物件と同じように、敷金(家賃滞納時の補填や、退去時の部屋の補修に使用)が必要な場合があり、敷金無料としている所もあれば、数百万円必要な施設もあります。
(サービス付き高齢者向け住宅では、一般の賃貸物件で必要となる事もある礼金に関しては、とってはいけないことになっています)
あくまで居室に対しての賃貸契約なので、介護サービスは、別の契約になります。
身体の状況によって退去させられない
賃貸借方式では、借地借家法という法律に守られていて、借家権が保証されているので、施設側の都合や身体などの状況の変化(長期の入院や介護度の重度化など)によって、退去させられる事はありません。
また契約者が死亡したら契約が終了、というわけではないので、夫婦で一緒に住んでいたとすると、契約者から配偶者へ借家権を相続して住み続ける事ができます。
終身建物賃貸借方式とは?
他にも終身建物賃貸借方式という契約方式があります。これは建物賃貸借方式が、死亡しても契約が終了しないというのに対し、契約者の死亡により契約が終了する、というもので、相続はありません。
ただし夫婦で生活している場合、契約者が死亡しても配偶者が住み続けられる権利が認められています。
死亡したら契約が終了するという事は、つまり生きている間は、住み続ける事ができ、高齢者の「終の棲家(ついのすみか)」となり得るのですが、施設側がこの契約方式を利用するには、自治体による非常に厳しい審査があって、この契約方式の物件は非常に少ないのが現状です。
利用権方式と賃貸借方式のまとめ
- 利用権方式
有料老人ホームに多い契約方式で、初期費用として高額の入居一時金を支払い(分割払い可能な所も)、その施設の居室やサービスを利用する権利を購入して入居 - 賃貸借方式
サービス付き高齢者向け住宅で多い契約方式で、一般の賃貸物件と同様の契約で、毎月家賃を支払い、介護などのサービスは別で契約を結ぶ